ARCH ENEMY 『War Eternal』

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ARCH ENEMY 『War Eternal』

 

2001年、『Wages of Sin』という作品を初めて耳にしたときの衝撃を忘れることはないだろう。泣きのギターメロディーとブルータリティ溢れる楽曲もさることながら、暴虐なデスボイスの主が小柄な、しかも女性であると知ったときのことを。Angela Gossow、その人である。

そのAngela脱退のニュースが飛び込んできたのは2014年3月。『Wages of Sin』含め5枚の作品を残してきた彼女の脱退は、いわゆる喧嘩別れのようなものではなく、マネージメントに専念するという名目のものであったが、彼女の存在はまさにARCH ENEMYARCH ENEMYたらしめていたものであったし、ことライブパフォーマンスにおいては持ち前の圧倒的なカリスマ性でもって世界を制圧してきただけに、このバンドの未来を悲観したのは私だけではないだろう。

後任として発表されたボーカリストは、Alissa White-Gluz(元The Agonist)。Angelaとは年齢が10歳ほど違えど、同じく女性ボーカリストである。 The Agonist時代には聴かせていたクリーンボーカルを一切封印して挑んだ本作『War Eternal』は、バンドの歴史上最もメロディアスであることに意識的なアルバムである。キャッチーで、もはやARCH ENEMY流のパワーバラードとでも呼べそうな「You Will Know My Name」をはじめ、美しいギターリードが映える「As The Pages Burn」やドラマティックなインストゥルメンタル曲「Not Long For This World」など、Michaelのメロディーの魅力を前面に出した楽曲が立て続けに並ぶ様は壮観である。

過去と比較するのは野暮だが、『Wages of Sin』を発表したの頃と比べてAngelaとChristopherという2つのピースを失いながらも、また前進することを選択したARCH ENEMYの新章を飾るこのアルバムは、徹頭徹尾ヘヴィメタルの美学に根ざした傑作だ。

 


ARCH ENEMY - You Will Know My Name (OFFICIAL VIDEO) - YouTube