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メカラ ウロコ・27でイエモンを見た。

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まだ醒めることのない余韻の中にあります。

12月28日、日本武道館THE YELLOW MONKEYイエモン)のライブを見ました。実質解散前最後のライブとなった01年の<メカラ ウロコ・8>以来となる<メカラ ウロコ・27>です。日はまさに仕事納めの日、会社の納会をそそくさと抜け出す僕の脳裏には幾つかの思いが去来していました。

初めてイエモンというバンドを知った小学生の頃、初めて「BURN」というシングルCDを買った中学生の頃、コピーバンドを組んでその「BURN」をライブで演奏していた高校生の頃、いつだってTHE YELLOW MONKEYというバンドは僕にとっての憧れでした。ただかっこいい、曲がいいということではなく、猥雑でアウトローな存在感、親に隠れてコソコソ聴きたくなるようなあの感じというのは、自分にとってのロックの生々しい衝動をちゃんと含んでるたった一つの存在でした。

そんな重要な存在でありつつ、僕は恥ずかしながらイエモンのライブを一度も見たことがありませんでした。01年の活動休止時には僕は高校2年生、大阪在住の自分にとっては東京ドームでのあのライブさえ非常に遠くの出来事のように感じていました。そしてバンドは解散し、イエモンのライブとは自分にとってもう一生触れることのできないものなのだと思って、そして10年以上の時間が流れました。

今年の年初の再結成の発表への想いは以前ここで書いた通り(こちら)です。早速ファンクラブに加入し、幾つかのアリーナ公演のチケットを手に入れていました。しかし、その発表によって自分の中のリトル本田、いや内なるロック少年の自我が掘り起こされてしまったのか、32歳のいまの自分があの頃の憧れに触れてしまうことへの恐怖感に完全に埋め尽くされてしまっていたのです。ここで書くには大変恥ずかしい話ですが、再結成したイエモンのライブを見ることで、あの頃の憧れに傷をつけたくないという気持ちだったわけです。それだけイエモンというバンドが自分にとって重要な存在だったということも言えますし、一方では自分の中でこんなややこしい気持ちがまだ残っていたのかと自覚する機会でもありました。伏線としては数年前の話になりますが、13年に公開されたイエモンのツアードキュメンタリー映画「パンドラ ザ・イエロー・モンキー PUNCH DRUNKARD TOUR THE MOVIE」にあったような気がします。

この映画は、98年から99年にかけて行われた<PUNCH DRUNKARD TOUR>のドキュメンタリーで、過酷なツアーを通してボロボロに傷ついていくバンドが克明に描かれているわけですが、僕は劇場でこの映画を最後まで見ることができませんでした。大好きなロックバンドが傷ついていく様を直視できず、上映中に映画館から逃げ出すように飛び出したことを覚えています。本当にガキみたいですが、僕はイエモンのこととなるとそうなってしまうようです。

この再結成ライブツアーについても同じでした。僕は確保していた全てのチケットを直前になって知人、友人に全て譲ってしまい、イエモンのライブを見る機会を自ら潰しました。様々な音楽メディアやSNSからは、イエモンのライブに対する称賛の声が聞こえてきます。それらの全てから目や耳を背ける日が続きました。

そんなモヤモヤの中で発表された<メカラ ウロコ・27>の開催発表。チケットが争奪戦になるようなライブであることは明らかだったので、もしチケットが当選したら僕はイエモンを見よう、と決めてチケットを申し込んだのですが、幸運なことに当選し、そして12月28日に武道館で初めてイエモンのライブを見ることになったのです。

当日のライブは本当に夢の中みたいであっという間の出来事でした。ビデオやDVDで何度も繰り返し聴いた「Second Cry」や「RED LIGHT」などのいわゆるヒット曲ではない楽曲の艶っぽさに魅了され、「悲しきASIAN BOY」での日の丸への敬礼や匍匐前進など、過去のメカラ ウロコから<メカラ ウロコ・27>へと橋渡しをするようなある種のセルフ・オマージュを交えたパフォーマンスは、まさにイエモンの過去と現在を接続するかのようなライブでした。そして、自分自身もあの頃の自分にちゃんと繋がることができたような気がします。

特に、アンコールで徳澤青弦ストリングスを従えたバンドが演奏した「真珠色の革命時代(Pearl Light Of Revolution)」に対する感動は、言葉では言い表すことが難しいほどでした。思えば、僕がイエモンの作品でもっとも繰り返し聴いていたものは、いわゆるオリジナルアルバムの何かではなく、99年リリースのライブアルバム『SO ALIVE』だったのですから。このライブアルバムは<PUNCH DRUNKARD TOUR>のライブを収録したもので、中でも「真珠色の革命時代(Pearl Light Of Revolution)」は<メカラ ウロコ・9>での演奏を収録したもの。中学生の頃からCDで聴いていたものが目の前でまさに再現されている様には、あの頃体験できなかったことを、いま現在進行形で追体験している様な不思議な感覚に包まれました。

そして、イエモンは今日、2016年12月31日、NHK紅白歌合戦に出演します。 実家に帰省しながらこれを書いているので、もしかしたら実家のリビングで親と一緒にテレビでイエモンを見るのかもしれません。親とか学校に対する反抗心(といっても大したものではないのですが)としてのロック、その象徴であったバンドを親と一緒にこたつに入ってテレビで見るなんて、なんだかおかしな心持ちだったりします。

でも、ライブのMCでロビンが言っていた通りに、一緒に年齢を重ねていけるバンドがいるという幸せ、それを間違いなく感じています。

そう思えるたった一つのロックバンド・THE YELLOW MONKEY、どうもありがとう。