Most Impressed Discs of 2017 1st-half

もう6月も下旬ですから、恒例のヤツってことで上半期ベストアルバムを選んでみました。

購入した作品の中からざっと10枚ほど選ぼうと思って見たのですがなんとなく絞りきれず、結局20作品選んでしまいました。この半年間の個人的なリスニング傾向としては、国内の作品を聴く割合がかなり落ちて、ジャンル的にはいわゆるロック・カテゴリーのものをいつもより多く聴いていたのかなーという印象です。PCの前に座っているときは、常に Bandcamp と Spotify はアクティブな状態にしているような状況なので、そこから気になって追いかけたものも多いです(このリストにはあんまり反映されてないけど...)。

20作品選んでちょっと多くなってしまったので、YouTubeのリンクなどは一切貼ってません。その辺はDIYな感じで各自チェックお願いします。

では。

 

『Guppy』 Charly Bliss

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NYの4ピースパワーポップバンドの1stフル。Veruca Salt を思わせるような若干の気怠さを持ったサウンドと、Eva Hendricks のいわゆるアニメ声系統のヴォーカルのマッチングが完璧。特に「Glitter」はこの上半期に聴いた曲の中で一番好きな曲だったかなと。アルバム全体としても超いいです。

 

『Voids』 Minus the Bear

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Minus the Bear 5年ぶりの最新アルバム。抜群の演奏技術をベースにしながらも、今作はとにかく楽曲の充実が凄まじい。冒頭の「Last Kiss」「Give & Take」をはじめ、エバーグリーンで強力なメロディーを分厚いバンドサウンドで支えている感じがとてつもなくエモい。一生聴くと思います。最高です。

 

『Lingering』 Sleep Party People

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デンマークのドリームポッププロジェクト 待望の最新作。これまでは局所的に熱狂的な人気を博していた感もありましたけど、このアルバムで一気にブレイクするんじゃないかなと。Sigur Rós を思わせるような北欧風味の浮遊感はそのままに、ポストロック的というか輪郭のあるビートを持った楽曲もあり、トータルで見て Sleep Party People = Brian Batz という天才を感じてほしい1枚。

 

『Revival』 Vancouver Sleep Clinic

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オーストラリアのミュージシャン Tim Bettinson のソロ・プロジェクト Vancouver Sleep Clinic の1stフル。ポストクラシカルな作風は Bon Iver あるいは Ásgeir を思わせるような寒々しさと透明感があるのに、これをなぜかオーストラリア人が作っているという不思議。「Someone To Stay」をはじめとして、印象に強く残る美しいメロディーの詰まった注目作かと。

 

『Swear I'm Good At This』 Diet Cig

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NYのパンクデュオ Diet Cigの1stフル。女性のギター・ヴォーカルに男性のドラムという最小のバンド構成が鳴らすローファイなポップパンクは変に突っ走ることもなく、Alex の自由なヴォーカルによって多彩な輝きを放っている。12曲28分というアルバムのサイズ感も最高ですね。

 

『Common As Light and Love Are Red Valleys of Blood』 Sun Kil Moon

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Mark Kozelek のソロ作に限りなく近づいた印象のある Sun Kil Moon 最新作。2枚組130分に込めた強烈な社会風刺と Mark のスポークン・ワーズの表現を見るに、これは彼なりのヒップホップなんじゃないかなと思ってます。50歳にしてこの意欲的な創作活動、実に畏れ入ります。

 

『The Dream』 Tashaki Miyaki

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LAのドリームポップバンドの1stフル。ローファイなサウンドとヴォーカル Lucy のキャラクターを活かした名曲の並ぶ傑作アルバム。個人的には The Jesus and Mary Chain を思わせる部分がかなりあるかなと。あと、ジャケットが秀逸なのでLPでの購入推奨の1枚です。

 

『Rocket』 (Sandy) Alex G

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なんだか最近「(Sandy) Alex G」に改名したシンガーソングライターの8枚目。ルーツミュージックに根ざしたスタンスは変わらずに、それでもカントリー色なんかをグッと増した印象で、この天才は本当になんでもできるんだなーと感嘆。これでまだ20代前半とか信じられないですわ。

 

『Hang』 Foxygen

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CAの2人組、Foxygen の2年ぶり4枚目。ブラスバンドの導入や分厚いコーラスワーク、スウィングジャズのテイストも取り入れた70年代感溢れる華やかな1枚。「USインディー」って言葉じゃこのアルバムの何も語れないし、10年後、20年後に「2017年を代表するアルバムってコレだったね」って言ってそうな作品。

 

『Dear Avalanche』 Lights & Motion

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 スウェーデンのミュージシャン Christoffer Franzen のソロプロジェクト Lights & Motionの4枚目。相変わらずあらゆる楽器を弾きこなす彼の圧倒的なミュージシャンシップの高さには驚嘆しかないが、前作と同じく M83 や Animal Collective を手がけていることでも知られる Dave Cooley によるマスタリングとの抜群の相性により、目の前に風景が見えるかのような錯覚を生み出すほどの深みのあるサウンドスケープは圧巻というほかない。

 

『La Divine』 Cold War Kids

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CAのインディーロックバンド、Cold War Kids 3年ぶりの最新作。メンバーチェンジ、レーベル移籍を経て、バンドの最高傑作を作ったなと思います。彼ららしいキーボードをフィーチャーした楽曲の開放感は抜けるように明るく、Cage The Elephant や Portugal. The Man と並んでシーンを支えている重要なバンドだなと再認識。

 

『Good Times』 Mando Diao

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ガレージロックバンドとしてデビューして注目を集めたものの、前々作では全編スウェーデン詞のアコースティックスタイルに完全に振り切ったかと思えば、前作ではサイケデリックなエレクトロアルバムをリリースして世界をドン引きさせてきたMando Diaoの最新作が、それらを全て飲み込んだ果てに生み出された、ある種”セル完全体”とでもいうべき充実のロックアルバムだという事実、超面白くないですか?

 

『公衆道徳』公衆道

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韓国の謎めいた宅録プロジェクト 公衆道徳のアルバム。僕はこの作品、日本でCD化されることで初めて知ったんですけど、聴けば聴くほどいろんな音、ノイズがコラージュされた作品で超素晴らしいと思います。iPodをシャッフルにして聴いてる時、「このカッコイイ曲なんだっけ?」と思って表示を見ると、たいがいこのアルバムの中の曲です。それほどに、何回聴いても新鮮で深く追求したくなる魅惑の1枚。

 

『Heartless』 Pallbearer

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スラッジメタルシーンの雄 Pallbearer 待望の最新作。前作であり歴史的傑作(と個人的には評価している)『Foundations of Burden』と比較しても、ドゥームメタル的な陰鬱さよりもトラディショナルなヘヴィメタル的美学に根ざした曲展開やリードギターなど、ある種の取っつき易さを手に入れている一方で、10分超えの楽曲で聴かせる奥深さの魔力にはやはり抗いがたいものがありますね。Baroness の近作と通じるところが結構あるかも。

 

『BUBBLE』 ヤなことそっとミュート

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ヤなミュー待望の1stフル。2枚のEPの延長に位置していながら、ヤなミュー流のオルタナティブロックの幅と奥行きをさらに広く表現した大傑作かなと。音楽的なアイディアの豊富さと製作陣の経験に裏打ちされた「アイドル x ロック」作品の最高峰。

 

『Everybody Works』 Jay Som

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USのシンガソングライター、Jay Somの2ndアルバム。儚く掴みどころのない、それでも彼女のパーソナリティーをバッチリ反映した10曲は、1曲ずつというよりは10曲並べてずらっと聴きたい感じがあって、これもまたアナログで聴くと味わいが増す1枚。アナログで聴いていると本当にのめり込んで聴いちゃう最高のアルバム。

 

『Crystal Fairy』 Crystal Fairy

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Melvins の Buzz と Dale、At The Drive-InOmarをバックに Le Butcherettes のTeri が歌うという極悪メンツのドリームバンド見参。ATDIの新作も非常に素晴らしかったけど、Melvins のリズム隊を従えてヘヴィーなリフを次々と繰り出す Omar のプレイは、このバンドで新しい魅力を放っていると思う。音楽性としては予想を裏切らず、しかしハチャメチャにブチ切れたものを聴かせてくれる充実盤。

 

ショートショート』 Ribet towns

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京都を中心に活動する大所帯バンド(10人組?)の初音源。グロッケンやマンドリンなども交えたバンドアンサンブルからは北欧を思わせる牧歌的な空気を感じるものの、日本語詞の女性ボーカルをしっかりと音楽の中心に据えており。ポップスとしてめちゃくちゃ良くできた1枚。ライブも1回しか見たことないんですけど、完全にファンになったのでオススメ。

 

『Emperor of Sand』 Mastodon

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もはやUSメタルシーンのメインストリームを突っ走っているアトランタの4ピース Mastodonの最新作。南部っぽい土臭さをまとったギターリフに多彩なコーラスワーク、コンセプチュアルな世界観など、これまでの Mastodon の歩みをこの1枚に凝縮したかのような豊かな傑作。短くまとめてこのアルバムのことを紹介することは難しいけど、いま現在進行形のメタルで究極の1枚なので、とりあえずコレを聴いてくれとしか言えない。

 

『Homey』 Chon

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ごく最近のリリースものですけど、ちょっとこれを挙げないわけにはいかないかなと。最近の Eternity Forever や Arch Echo のリリースにも象徴的な、非常にソウルフルで歌心溢れる”きれいめテクニカルプログレ”の決定盤をChonが作ってきたなーという1枚。圧倒的なギターテクニックをあまりにも正しい使い方で示された僕はただただ素晴らしい素晴らしいと唸るしかないのです。