「遠征」してライブを観に行くことについてちょっと考えた話
先日(5/18)、Megadeth と Anthrax の来日公演を観てきました。もちろん両バンドともフルセットで観たいのが本音で物足りなさが全くないわけではないけれど、それでも日本公演が行われるというだけでありがたい話であり、また当日は Chris Cornell ( Soundgarden )逝去の報があったこともあって、そういった意味でも思い出深いライブだったことは間違いありません。
その公演を観に行って、改めて自分の中で感じたことを簡単に書き残しておきます。ライブの「遠征」についてです。
Japan, you were awesome! 君たちはいつだって一番最高だ!またすぐに会おう! pic.twitter.com/ytQU2wDF0W
— Megadeth (@Megadeth) 2017年5月22日
「遠征」するということ
「遠征」。定義は極めて曖昧かと思いますが、自分の住んでいる街ではない所でライブを観に行くことを「遠征」と表現することはわりかし一般的になってきたかなと感じます。(余談ですけど、ライブを観に行くことを「参戦」と言ったり、なんかやたらと戦争っぽく表現するのはなんでなんですかね?僕は知りません。)
好きなバンドを追いかけて地方公演まで観に行くケースもあれば、自分の住む街やその近辺でライブが行われない場合に、東京や大阪といった都市までライブを観に行くケースもあるでしょう。海外アーティストの来日公演に限って言えば東京公演のみ、ないし東阪2箇所のいわゆる「名古屋飛ばし」のような公演規模で実施されるものも少なくないのが実情かと。
地方民の「東京ばかりズルい」「自分たちの街まで来てくれれば観に行くのに」といった意見は、まぁワガママだよなぁと思いつつも、学生時代を関西の比較的田舎サイドで過ごした自分にとってそれなりに理解はできる悩みだと思ってます。時間的制約、金銭的制約の両面においてですね。
来日公演を海外から観に来る人たち
で、話は冒頭の Megadeth と Anthrax のライブの話に戻ります。
当日は Anthrax のTシャツを着ていたからか、駅の周辺で何人かの外国人に道を訊かれたりしました。
その中でもある若い男性が印象に残っていて、彼は自分が着ている Megadeth のTシャツを指差しながらスマートフォンを差し出して道を尋ねてきたので、「あの歩道橋を渡って、建物の中をまっすぐ行けばわかるよ。」って英語で喋って答えたのですが全く要領を得ず、結局差し出してきたスマートフォンの Google翻訳で行き先を教えました。スマートフォンに表示されていたのが簡体字だったので、おそらく中国人だったのかなと。
そんな調子だったので特に会話もせずに別れたのですが、日本語ができず英語も堪能でないことから、おそらく留学生や日本で働いているのではなく、このライブを見るために東京に来ていたんじゃないかと思います。
東京で行われる海外アーティストの来日公演に外国人が多く観に来ているという状況は、昨今もはや珍しい光景ではないと思いますし、特にそれぞれ別にワールドツアーを行っているこの2バンドがカップリングで公演を行う日本公演は殊更貴重なもので、日本在住ではない外国人がわざわざ日本まで観に来る価値のあるものであるということは間違いなく言えると思います。(そういった人たちがどうやってチケットを購入しているのだろう?と思うのが常ですけど。)
Metallicaは日本へは来なかった
で、またまた話は変わって、冒頭で述べた2バンド( Megadeth 、 Anthrax )と共にスラッシュメタル四天王<The Big 4>に名を連ねるメタルモンスター、 Metallica の話。
Metallica は昨年、8年ぶりのリリースとなるフルアルバム「Hardwired... to Self-Destruct」をリリースして、今年は1月の韓国・ソウル公演を皮切りに、中国(上海、北京)、香港、シンガポールを経由して、いまはヨーロッパと北南米をツアーで周っている真っ最中なわけですが、既に来年の5月頃までのツアースケジュールが発表されており、そしてその中に日本での公演予定は発表されていません。
今年の夏の大規模フェス(サマーソニックおよびフジロック)への追加発表は現実的に考えられない状況ですし、今後のツアーの旅程を眺めていても、現在発表されている来年5月までのツアースケジュールのどこかで日本公演が差し込まれる可能性は極めて低いだろうと個人的には思っています。
Masa Ito 情報によれば、韓国、中国公演前後の日程において、某スーパーアリーナでの日本公演がプランされていたが結局頓挫したなんて噂話も聞こえてきますが、とはいえ日本公演が実現されていないことは紛れもない事実。
Metallica の来日公演ということで言えば、2013年のサマーソニックにヘッドライナーとして出演して以来4年ほど間が空いており、単独公演に至っては2010年まで遡ることになります。
そして、1月11日のソウル公演のオープニングアクトが BABYMETAL だったことも含めて自分なりに今さら拡大解釈して言うならば、やはりこの日の公演は「韓国公演」でありながら「日本公演」を含んだもので、「遠征」の範疇で行くべきライブだったのだなと。
もはや観たいライブはこちらから「遠征」するわ、海外でも
自分がライブを見に行くために東京から「遠征」したことがある範囲としては、北は旭川から南は鹿児島と、一般的には行動範囲も広いつもりでいたんですけど、ダメでしたね。
Metallica 、日本に来ると思ってたし。
いや、冷静になって考えてみれば、カリフォルニアからはるばるやってくることを思えば、東京とソウルなんて誤差の範囲なんですよ、たぶん。ライブのチケットだって取ろうと思えば取れたし、1月11日がド平日(水曜日!!)という制約さえクリアすれば「遠征」して観に行けたのに、という後悔が今はすごく大きいです。。
そしてこれは、Metallica みたいなビッグアクトに限った話でもないかなと。
いまや東アジア・東南アジアの各国でも比較的大規模な音楽フェスが開催されているじゃないですか。
韓国・仁川で開催される Pentaport Rock Festival は日本のフェスと時期を隣接しているため、比較的日本のフェスとラインナップを同じくする傾向が強いのかなと思いますが、例えば香港で開催される Clockenflap (11月開催)なんかは、昨年のラインナップでいうと The Chemical Brothers やら M.I.A. あたりをメインに据えつつ、日本には来なかった Shura や Yo La Tengo あたりもラインナップしているし、オーストラリア、ニュー・ジーランド、シンガポールで開催された Laneway Festival (シンガポールは1月)の場合でも、White Lung とかが出ていたり、オーストラリアの Jagwar Ma とか King Gizzard & the Lizard Wizard なんかが観れたりするわけです。
特に香港だったら、フジロック(新潟県南魚沼郡湯沢町)まで行くのとさほど時間的な感覚も変わらないような気すらします。
このあたりまでは、自分的には「遠征」して気軽にライブを観に行く範囲として考えておいていいんじゃないかと考え始めています。ロンドンの人がパリにライブ見に行くくらいの感覚で(なんとなく)。
そんな訳で、気持ち的にはフットワーク軽く海外にだって気軽に「遠征」してライブ見に行こうと思いつつ、現実的にはお金を稼ぐべく明日も勤労しようと思います。
そんな話。